ゆらぎ、めぐる、理想のかたち

安土天平さんガラス作品

硝子作家の安土天平(あづち・てんぺい)さんは〈富山ガラス造形研究所〉を卒業後、飛騨高山の工房で精力的にガラス作品を作り続けています。
定番モノと呼ばれる100種類以上の花器や食器は、父・忠久さんやその源流にあたる〈倉敷ガラス〉の影響をつよく感じさせながら、天平さん独自の展開を見せることで、出品される度に高い注目を集めています。

安土天平さんがガラスを吹く様子

そんな天平さんのガラス作品がどのように生まれているのか、魅力の源泉がどこにあるのかを探りに、なかなか見ることができない制作の現場へと伺いました。そこで見られたのは、理想の形を追い求めるため、時に硬く、時に柔らかく、ゆらぎ続ける天平さんの制作スタイルでした。

安土天平さんのアトリエ外観

幼少期より、お父様がつくるガラス作品に触れられてきた天平さん。夏休みの自由研究で、忠久さんから習いながら吹き硝子をしたこともあったそう。

安土天平さんの父親・安土忠久さん

大学卒業後、門を叩いた〈富山ガラス造形研究所〉では、1点の作品に長い時間を掛けることに驚きます。たくさんの数をつくり続ける忠久さんの姿を見てきた天平さんにとって、一品の作品に長い時間を掛ける、いわゆるアート寄りの硝子制作はとても新鮮に映りました。

安土天平さんのつくるオブジェ

だからか、研究所在籍時には「キャスティング」と呼ばれる造形技法をもとにしたオブジェ制作に没頭します。これまでの硝子のイメージが大きく変わっていく経験だったのだそうです。

研究所を卒業し、飛騨へと戻った天平さんは吹き硝子にもまた新しく出会い直すこととなります。「余計なことを考えてる暇はないから、嘘もつけないです。ぜんぶが完成品に現れてしまいます。」と天平さんは言います。

ガラス作品制作の様子

そんな天平さん、実は大学で史学(歴史を研究する学問)を学んだ異色の経歴を持っています。「人間の物語そのものであるような歴史に高校生の頃から強く興味を持っていた」そう。ひとりの人間がどのように生きるか、そんな関心は、どこか「作家」と呼ばれるような人物への関心にも通じているように思えます。

随筆家・白洲正子が忠久さん宛に送った手紙には、「作品を作ってはいけませんよ」とあったそうです。つくった人の名前ではなく、使われている様子が先に、つよくイメージできる物。つまり忠久さんのなかにある「職人」仕事に光るものを見出していたのです。

ガラス作品制作の様子

数年を経て、天平さんはそんなやりとりにどのように応答しようとしているのでしょうか。一見すると、天平さんが研究所時代から今も並行して作り続けているオブジェ作品とは、相反するようにも感じます。

工程が決められた吹きガラスでも、「ちょっとタイミングがずれてしまって、作り損なったものの中から新しいものが出てくる」ことはあるのだそう。

ガラス作品制作の様子

熱されたガラスは細く伸ばされ、くるっと巻かれます。ほんの一瞬のうちに、取手がつけられ、ひとつのジョッキが出来上がっていきました。

ガラス作品制作の様子

「これまで数をつくる「職人」と一品の作品をつくりあげる「作家」は、対立するものだと思っていました。でも最近は、ちょっと考え方が変わってきました。自己修練や哲学という意味では(作家による)アート作品も(職人による)プロダクトも同じだと思うようになりました」。出来上がったばかりのグラスを眺めながら語る天平さんはどこか嬉しそうです。

ふたつのもののあいだでゆらぐ姿は、天平さん自身の制作におけるさまざまな面でも度々見られます。そこに共通するのは、ふたつの相反する物事をいったりきたりしながら、深く自己の内面に潜って、そこからすくい上げてきたものを作品に落とし込む。そんな厳しく、そして軽やかな制作スタイルでした。

アトリエの窓から

開けた台地に茂る木立の中、ガンガンに音楽を掛けながら連日ひとり工房に立ち制作を続ける天平さん。孤独とは切っても切れないのでは、と質問してみました。こちらの想像を優しく受けとめつつも「作品を通じて濃密な関係を周りと持たせてもらっている」と小気味よい口調で応えてくれます。(天平さんの寡黙な印象からは意外にも、「口から生まれてきたんじゃないか」と言われていたのだそう。)

ヒダコレの質問に考える安土天平さんの表情

孤独と対話。吹きとキャスティング。職人と作家。硬さとゆらぎ。その両方で天平さん自身も常に揺れ動いている。作品そのものに宿った、動きさながらに、天平さん自身がゆらぎ続けながら理想の形を追い求める。暮らしにぴったりと寄り添う天平さんの作品は、そんなゆらぎ、めぐる過程そのものが形となったものなのかもしれません。

ガラス作品 ピッチャー

安土天平さんが出展される展示がおこなわれます

ヒダコレで行われる「安土忠久・安土天平 ふたり展」のチラシ

〈安土忠久・安土天平 ふたり展〉
日時:2024年7/26(金)~8/4(日) 9:30-17:30
定休:水曜日・木曜日
会場:ヒダコレ家具

〈オンライン展〉
日時:2024年8/5(月)~8/13(火)
開催期間中のホームページはこちら

色んな組合せができる
無垢のダイニングテーブル。

お届けした家具

分割できる3wayダイニングテーブル
キッチン用ハイスツール
3連スツール

家族構成

ご夫婦二人

お住まい

新築

ヒダコレを知ったきっかけ

検索→ご来店

お部屋の仕様や生活スタイルは人によって千差万別です。
限られた空間を生かして暮らしにあった家具が欲しい、そんな想いのお客さまにヒダコレの『カスタムオーダー家具』はぴったりです。

京都にお住まいのY様は、ご自宅の新築をきっかけにダイニングテーブルを探されていました。Y様のリビングには写真にあるような丸太の柱があり、お部屋の素敵なアクセントとなっています。ただ、ダイニングテーブルを置くスペースやサイズが限られてしまいます。普段はご夫婦お二人の生活なので大きなダイニングテーブルは必要ないのですが、来客があった時などに対応できるようにしたいというご希望でした。
店舗にご来店いただいたY様からご希望などお話を伺い、お部屋の図面を見せていただき、提案をさせていただくことになりました。

ヒダコレが最初にご提案したテーブルの図面がこちらです。

お部屋のアクセントである柱を活かして、柱がまん中に収まるようにテーブルをカットするというプランです。これはY様にとっては少し一般住宅向けではないかも、ということで保留になりました。その後も提案したプランへの感想などを伺いながら修正をくり返していきます。こんな風にお客さまと一緒に考えながら、少しずつお客さまのご希望に近づけていきます。

そして、最終的に決まった図面がこちらです。

1200mm×600mmの横長のテーブル2台の組合せです。
組合せ方によって正方形、L字カウンター、横長カウンターの3通りの使い方ができます。
また、それぞれ別々の場所で使うこともできるフレキシブルなテーブルです。
テーブルの脚は2本1組にすることによって、正方形として使うときは向きを変えて取付けられるようにしてあります。座った時に邪魔になることなく、見た目もスッキリ。

図1:長方形テーブル単体の場合の脚

図2:正方形テーブルとして使う場合の脚

このプランでOKをいただけましたので、使用する樹種の選定をし、お見積りを出させていただきました。(Y様は木目がはっきりしてナチュラル感のあるニレ材を選定)

図2のように脚を取付けたところ。
図2のように脚を取付けたところ

ヒダコレのカスタムオーダー家具は、設計からお見積りまでは一切コストがかかりません。
お支払いは「これを注文します」と決めていただいてからで大丈夫ですので、皆さんお試し感覚でお気軽にご相談いただいています。

ご注文いただいた家具は、図面をもとに自社工房で家具職人が心を込めて製作しています
ご注文いただいた家具は、図面をもとに
自社工房で家具職人が心を込めて製作しています

そして納品。ヒダコレでは小家具以外は基本的にスタッフが直接お届けし、お部屋の中に設置させていただいています。お客さまにとってオーダー家具というのは、お届け時に初対面となります。お客さは「本当に想い描いていた家具ができたのかどうか」ドキドキの瞬間でしょうが、それはお届けするスタッフにとっても同じ、いえ、それ以上にドキドキする瞬間なのです。

Y様からは「控えめに言って…最高です!嬉し過ぎて嬉し過ぎて、本当にありがとうございました!」というシンプルながらも想いの沢山こもったメールが届き、接客・設計・製作・お届けしたスタッフそれぞれがホッと胸をなでおろした瞬間でした。

始まりは一つのダイニングテーブルですが、
結果3通りの使い方ができるフレキシブルなテーブルを
完成させることができました。
キッチンにスツールが一つあると、
料理の合間にちょっと腰掛けられて楽ですね。
木目が繋がる3スツールは見た目の美しさだけでなく、色んな用途で使えるので便利です
木目が繋がる3スツールは見た目の美しさだけでなく、
色んな用途で使えるので便利です。

それぞれの暮らしに合ったオーダー家具は、生活が快適になったり、機能性を高めたり、暮らしを少しだけ豊かにしてくれます。また、天然木の風合いが美しい無垢の木で作ることによって、『組合せが自由』という機能的価値だけでなく、『心地いい』『愛着が湧く』といった情緒的価値も生み出してくれるのです。

こんな部屋にしたい、こんな暮らしをしたいけど、自分にぴったりの家具がみつからないという時は、ぜひ一度ヒダコレにご相談ください。私たちと一緒に考えながら、お客さまだけのお気に入りの家具を作るお手伝いをさせていただきます。

簡単にできる
「おうちでメンテナンス」のススメ

ここまで〈おうちでメンテナンスプロジェクト〉として、みなさんがテーブルを長く使い続けるためにご自宅で簡単にできることをいくつかご紹介してきました。では、みなさんとこのプロジェクトを進めた先に、どんな社会の姿を描いているのか。そもそもこのプロジェクトはどこに向かっているのか。最後に、少しだけお話しさせてください。

大きな循環へ

国連がさだめた「持続可能な開発目標」。通称〈SDGs〉には、持続可能な世界を実現するために、2030年までに達成すべき17の目標が設定されています。

その中のひとつに「つくる責任 つかう責任」があります。観光や補助金のあり方にも触れるこのトピックでは、生産者と消費者、どちらにも求められる「責任ある行動」が記されています。生産者だけががんばるのでもなく、消費者だけが毎日の行動を変えるのでもない。日々の暮らしのなかで、互いの役割を果たす。ただそれだけで、世界はもっと身近なものになっていく。そんな未来の姿が込められています。

森と暮らしだって、そうなのです。木が育つ森とわたしたちの暮らしは、30年以上前と比べて、ずいぶんと近づいてきました。木は、形を変えて色を塗れば何にでも変わって、いくらでも使える便利な素材なのではなく、大切にしたい隣人として迎え入れるような、そんな存在になりつつあります。ちょっとした毎日のことで、川上の「森」と、わたしたちのような「家具のつくり手」、そして川下の「暮らし」がつながっていく。遠かったはずのものと、手で触れられるものがたしかにめぐっている。そんな「大きな循環」への実感を、今のわたしたちはいくらかはっきりと想像できるようになってきたのではないでしょうか。

小さな輪をつなぐ

そんな喜びが、もっともっと広がっていくといいですよね。じゃあ、どうしたらつくり手とつかい手の輪っかを広げられるのでしょうか。「持続可能な世界」を包みこむような、大きな輪っかはどのように実現できるのでしょうか。

誕生日パーティーで部屋に飾るペーパーチェーンを思い出してみましょう。そうです。あの、壁に掛ける紙製の小さな輪っかを繋げてできたアレです。ひとつずつは小さな紙片をくるっと巻いただけにすぎないもの。でも、そんな輪をつないでいくと、いつのまにか、お祝いの場をつくる大きなつらなりとなります。これを循環のモデルにしたいのです。ひとりが、すべてをつくりあげてしまう立派な飾りつけ、ではありません。別のひとのがんばりといつでもつなげることができる、そんな循環のモデルです。「大きな循環」とはきっと、ひとつの線で結ばれているのではなく、拡大してみれば小さな輪っかのつらなりでできあがっているのではないでしょうか。

ヒダコレ家具が果たす「つくる責任」は、そんな大きな循環をみなさんと一緒につくれる小さな輪っかにまで分解して、またつなぎなおす。そんなあり方を理想としています。それは、普段のオーダー家具の制作に並行していくつも走らせている、いくつかのプロジェクトにも表れています。せっかくの丸太だからこそ、チップ用材だけに流してしまうのではないありかたを目指す〈丸太から家具を考えるプロジェクト〉。そしてそこから派生した〈カスタムオーダー家具〉。これらは、みなさんが「つかう責任」を果たせるようになるまでをも「つくる責任」に含める。そんな態度の表れです。

もっと近くに

これらのプロジェクトは、がらりと大きく社会を変えるようなことはないかもしれません。それでも小さな輪を増やすことは、大きな循環へと確かにつながっていく。そう信じています。そして、この〈おうちでメンテナンスプロジェクト〉もそのうちの1つなのです。

先に挙げた2つのプロジェクトが、みなさんが「使うもの」の選択肢を増やすことを目指したものだとすれば、〈おうちでメンテナンスプロジェクト〉が目指すのは、みなさんの「使いかた」の選択肢を増やすことだと言えそうです。みなさんがテーブルを迎えてからでも、大きな循環に加わることができる。森と暮らしは近づくことができる。メンテナンスはささやかではあるけれど、そんな広がりのあるアクションなのです。

INTRODUCTION「大切な家具をもっと大切にする」では、テーブルを迎えてしばらく経った後、もう一度愛着を思い出してもらう暮らしのあり方をご提案しました。

No.1「テーブルのお困りごとは、この3つ」では、日々の生活にある小さな選択でさまざまなお困りごとも解消できることをご紹介しました。

No.2「テーブルは「水拭き」してはいけない!」では、当たり前だと思っていた手入れの「実は…」のご紹介を。

No.3「実際にやってみよう!テーブルのメンテナンス方法」は、実践編として、自分たちの手を動かしてできるたくさんのことを、改めて整理しました。

これらが、みなさんの心地よさや喜びにつながっていくのは、何より、森と暮らしが巡り合っている、その実感からくるものだと信じています。

テーブルなど家具のメンテナンスには、おうちでできる簡単さだけでなく、森と暮らしがぴったり寄り添う喜びも含まれています。そして、こうした実感をより確かなものにするべく、ヒダコレ家具では「家具循環システム」の取り組みを本格化させた新たな事業をスタートさせる予定です。

大きな循環に向けて、小さな輪をつなぎ、暮らしと森とがもっと近くにいられたら。そう願うみなさんのことを、わたしたちはいつでもお待ちしています。

実際にやってみよう!
テーブルのメンテナンス方法

テーブルをお迎えしてから1年ぐらい経つと、少しずつ表面のヨゴレに気づくようになってきます。早速メンテナンスの具体的な方法に入りましょう。

大まかな工程として【泡あらい→ペーパーがけ→オイル塗装】という流れになります。テーブルの表面の状態にもよりますが、「ヨゴレ」が少ない場合は「泡洗い」は省略することもあります。

メンテナンスをする時期やタイミングは、特に決まりがある訳ではありません。小さなお子さんがいるなどの家族構成や暮らし方によっても変わってきます。また「今日はいい天気だから、みんなでしようか」など、気分に合わせてやってみるのもいいかもしれませんね。

シミがついたりマジックがついたものを、そのまま何年も放っておいた後にメンテナンスしても手遅れなんてことはありませんのでご安心ください。

ただ一つ条件があります。先の「水拭きをしてはいけない!」の中で説明したとおり、普段から「水拭き」の回数が少なく「乾拭き」をメインにしていることが大切です。もし毎日毎日「水拭き」だけを繰り返しているとしたら、テーブルの上が「水垢」でいっぱいになっているので、簡単にメンテナンスは出来ない状態になってしまいます。

ご用意いただくもの

1. 泡あらい
・ボウル
・泡立てネット
・水
・石鹸(食器用洗剤でもOK)
・スポンジ
・ふきん 2枚

2. ペーパーがけ 
・サンドペーパー(#360〜400程度のもの)

3. オイル塗装
・綿生地の布
・オイル(オイル種別についてお困りの方はお問い合わせください。)

※必要に応じてエプロンを着用しましょう

1.泡あらい

まずはヨゴレを落としていきましょう。表面に付着した油分を泡で浮かせ、乾拭きによってゴシゴシ拭き取っていくイメージです。ヨゴレとはテーブルの表面に付着したものですが、実際は見えないものがほとんどです。

普段毎日「水拭き」をしているという方は、事前の「泡あらい」だけを何日もかけて何度も繰り返ししておく必要があります。その後に「ペーパーがけ」「オイル塗装」へと進めてください。

○「泡あらい」の工程

1.ボールにカップ1杯程度の少量の水を入れ、ネットで石鹸を泡立てます。食器用洗剤でも大丈夫。たっぷりと泡立ててください。

2.水を軽く含ませたスポンジに泡を乗せたら、さっそくテーブルを磨いていきましょう。

3.いきなりテーブル全体に広げるのではなく、肩幅と同じくらいの範囲から順々にスポンジで磨きます。

4.磨いた部分を泡用の布巾で拭きあげます。

5.次に、乾拭き用の布巾で、ゴシゴシと力をいれましょう([ポイント] 油分の膜を取るため乾いた布で力強く拭き取る)。

6.3-5を繰り返して、天板全体を段階的に洗います。ふきんが黒ずんできたら、ヨゴレが取れている証拠です。

※少しの面積ずつ「洗い・拭き取り・ゴシゴシ乾拭き」を繰り返すことが大切です。

いかがでしょうか。綺麗そうに見えても、意外と汚れていたことがお分かりになるかと思います。木の導管にヨゴレが詰まってしまうと、オイルが浸透していかなくなりメンテナンスができなくなってしまいます。「水拭き」をしなければ導管はつまりませんので、これからは「乾拭き」をメインにしていきましょう。

2.ペーパーがけ

さて続いては「ペーパーがけ」ですが、「泡あらい」でテーブルの表面のヨゴレが落とせたら、次はテーブル表面を滑らかにしていきます。無垢の木が持っている油分などが抜けると、木の表面の木目が立ってきて少しザラザラしてきます。そのザラザラを滑らかにすること、そしてまだ表面に残っているヨゴレを取ること、それが「ペーパーがけ」です。

ペーパーがけをするとテーブルの表面がスッキリ・さっぱりするので、驚くほど気持ちのいいものです。ぜひ挑戦してみましょう。

○「ペーパーがけ」の工程

1.テーブル天板の「木目の流れ」を確認します。
※磨き方向を間違えると新たなキズをつくってしまう可能性もあるため、この工程で最も重要な部分です。木目と流れと同じ方向に磨きます。

2.サンドペーパーの番数を決める。400~600番がよいでしょう。
※サンドペーパーの番号は、小さいほど目が粗いため、まずは小さい数字のものから徐々に番数を上げていきます。

3.サンドペーパーを3つ折りにし、天板に触れる面に人差し指と中指を添えるようにして持ちます。
※テーブルに水気が残っているとサンドペーパーはすぐに使えなくなるので、しっかりと乾拭きして乾くのを待ってから磨きます。

4.最初は端から木目に沿って、小さく、細かく、軽く往復させながら全体のばらつきが少なくなるよう、まんべんなく重ねて磨いていきます。
※木目に逆らったり丸く磨くのは絶対にNG!**「キズ」となって、後で取れなくなることもあります。
※ボールペンの跡など、特に消したい箇所は重点的に磨きつつ、周りとなじむように周辺も磨きましょう。

5.テーブルの端から端までをできれば二往復、少なくとも一往復は重ねて磨きます。

3.オイル塗装

さて、最後に仕上げのオイル塗装です。泡あらいの工程によって、付着した油分だけでなく表面のオイルも一緒に取れています。しっかりと保護しておきましょう。

○「オイル塗装」の工程

1.乾いたタオルで、ペーパーがけで生じた木の粉をキレイに拭きとります。

2.綿生地(Tシャツ生地)の布にオイルを染み込ませ、小さく円を描くように、また木目に沿って天板に刷り込んでいくように塗っていきます。
※ペーパーがけと同様にテーブル全体にまんべんなく塗ることが重要です。少しずつずらしながら何度も、前後左右を重ねるようにして、塗り残しがなくなるようにしましょう。

3.仕上げ拭きをします。乾いた布でテーブルの端から端まで大きなストロークで、木目に沿ってならします。

4.余ったオイルを布のキレイな面で拭き取り、塗り残しがないかを確認します。
※塗膜をつくるわけではないので、オイルを残しておく必要はありません。ベタつきの原因にもなるため、しっかりと木目に沿って拭き取りましょう。

5.オイルの染み込んだ布を捨てる。自然発火の危険があるため、ビニール袋に布を入れ、コップ一杯ほどの水をいれ、縛って捨ててください。

6.塗装後は1日しっかりと乾燥させてください。

以上で、メンテナンスの工程が終了です。最初は少し時間がかかってしまうかもしれませんが、慣れれば簡単で、メンテナンス後のテーブル表面を見るのが楽しくなってきますよ。

最後に、普段からできるお手入れ方法をご紹介しておきます。日頃、こうしたことにちょっと気をつけておくだけで、さらにメンテナンスも楽になります。

・水のついたもの、熱いものは直接置かないでください。コースターや鍋敷き、ランチョンマットなどを使用するといいでしょう。
・醤油やワインなどをこぼしてしまった時は、すぐに「乾いた布巾」でしっかりと吸い取ります。その後固く絞った布巾で水拭きし、再度乾拭きをしてください。
・「水拭き」の回数は極力減らしてください。水拭きをする時は、その後に必ず乾拭きをします。拭く時は木目に沿って拭きましょう。
・薬品の含まれた化学ぞうきんなどは不自然なツヤの原因になるため、使わないでください。
・無垢の家具にメラミンスポンジを使ってヨゴレを落とそうとするとキズをつけてしまいますので、使わないでください。

テーブルは「水拭き」してはいけない!

「ヨゴレ」の最大原因がなにかみなさんはご存知でしょうか?それは意外にもみなさんが普段、テーブルを使用したあとに必ず行っている「水拭き」なのです。きれいにしているつもりなのにヨゴレの原因?と怪訝に思われる方も多いかもしれません。もちろん水拭きを一回するだけでヨゴレが溜まる、というわけではありません。

「水拭き」がヨゴレの原因となるのは、2つの理由があります。

1.実は水ぶきで「油よごれ」は取れない!

なじまないもの同士の代名詞でもある「水と油」。汚れの原因となる料理の多くにも油分を含んでいます。その他ほとんどのヨゴレは油分由来のものなのです。

濡らした布巾は当然水を含んでいるので、油などのヨゴレを吸い取ることができずにテーブルに広げて刷り込んでいるだけ、という事態が起こってしまいます。

そこでまずは乾いた布巾で油ヨゴレなどをしっかりと吸い取ってあげることが大切です。

2.水拭きを何百回と繰り返すと、テーブルに水垢が溜まる?

また〈ガラス塗装〉でも登場した「シリカ」は水道水にも含まれています。水に溶け込んだこのシリカは、濡れ布巾でテーブルに広げられ、乾くと岩石の成分として白っぽく目に見えるものになります。これが「水垢」の正体なのです。

年末の大掃除の時に、窓を水拭きした経験はありませんか。何度水拭きしても、窓に水の跡が残ってしまいます。あの水垢がテーブルの上に溜まっていってしまうのです。そこで「水拭き」と「乾拭き」の併用をおすすめします。水滴が残った窓も、その後に乾拭きをしてきれいにしているのと同じ要領で、テーブルの上に水垢が溜まるのを防いでくれます。

一度溜まってしまった「水垢」は、私たちでも苦戦してしまうほど厄介な存在。テーブルは「水拭き」してはいけない!というのはそんな理由からなのです。

やはり、普段の掃除に勝るメンテナンスはありません。食事のヨゴレには油分を吸い取ってくれる「から拭き」を強くお薦めします。 

「NHK あしたが変わるトリセツショー」でもご紹介されています。
くわしくはこちら

3つの塗料の特徴と
メンテナンスについて

塗料には大きく分けて浸透性/塗膜性の二種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットはありつつ、私たちは「メンテナンスができる」という最大の利点から「浸透性」の塗料をオススメしています。

塗料の選択では自然由来か化学系か、どちらが体にいいか悪いかというお話をよく聞くと思います。もちろんそれもあります。でも、テーブルを長く使いつなげていくとお手入れが必要になってくることがあるので、自分でメンテナンスできる塗料を選ぶことがとても大切です。

また木材の呼吸を妨げない点でも、「浸透性」塗料はおすすめできます。木材の香りに含まれる「フィトンチッド(Phytoncide)」にはたくさんの良い効果があることが分かってきているのです。フィトンチッドは、およそ100年前にロシアの研究者ボリス・トーキンによって発見された、植物が身を守るために揮発する物質です。

木そのものには抗菌性が備わっており、またそれだけでなく、人のストレスホルモンを低下させるリラックス効果と結びつけた研究もあります。つまり、木の呼吸を閉じ込めてしまうのはとてももったいないのです。

こうしたことをふまえて、それぞれを塗装したテーブルの特徴を詳しく見てみましょう。

オイル塗装

浸透性の代表例は〈オイル塗料〉です。木そのものの風合いや質感を残したまま、水をはじき汚れにくいテーブルにすることができるのが特徴。

そんなオイル塗料のなかでも、ヒダコレが使っているオイル〈リグナF〉をご紹介します。

玄玄塗料さんの〈リグナF〉は木の手触りを損なわない透明の国産オイルです。

木理(もくり)を強調しつつも自然な風合いに仕上がり、撥水・防汚性にも優れます。

成分はアマニオイルとミツロウのみ。人体に有害な成分を含まない植物系素材のみを用いているのも嬉しいですね。

気泡の発生や塗りムラによる剥がれなどの心配が少ない塗料です。

一方で、オイル塗装は完全にテーブルを保護するわけではありません。そこで一度、「メンテナンスしづらい」とはいえ保護力の高い塗膜性のメリットについてもいくつか確認しておきましょう。

ウレタン塗装

塗膜性の〈ウレタン塗装〉はテーブル表面にうすい膜をつくるので、木そのものにはシミがほとんどつきづらいのが特徴です。また、比較的テーブル表面が硬くなるため、キズもつきづらい。さらに、オイルやラッカー塗装と比べてカラーバリエーションも豊富です。

けれど、やはり長期的な視点に立てばメンテナンスができない〈ウレタン塗装〉はお薦めできません。

たとえば、ピアノの上で毎日食事をすることを想像してみましょう。キズの心配をしながら使うのはちょっと神経を使いますよね。塗膜のあるテーブルとはピアノのようなものに近いのです。たしかにすこしのことでは問題は起きないですが、いつか思いがけずキズができてしまった時には目も当てられません。

もし〈ウレタン塗装〉のテーブルにキズができてしまった場合には、すべての塗装を剥がして全面塗装しなければならないため、工場での修理が必要になります。運送費も掛かるから、結局新品を買った方が安い。なんてことにも。

といっても、せっかく買ったテーブルをしっかり守ってくれる塗料があるといいですよね。ここで高い保護性や防汚性をもちつつも浸透性の〈ガラス塗装〉をご紹介します。

ガラス塗装

シリカと呼ばれるケイ素を主成分とするセラミック塗料は、もともと文化財や建造物への落書き防止を目的として開発されました。

それが木製の家具にも有効であることに注目した兵庫の小さな会社が開発したのが、ここでお勧めするガラス塗料〈tatara〉(https://tatara-hanbai.com/)です。

「ガラス」と聞くと、せっかくの木のぬくもりが台無しになってしまうのでは?と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、浸透させると木本来のさらりとした質感そのままで高い撥水性を見せてくれます。

オイル塗装の仕上がり感や木の呼吸性はそのままに、より高い耐久性や防汚性、抗菌性などを兼ね備えています。

特に、オイル塗装ではどうしてもできてしまう輪ジミへの対策としても有効であることが試験によって証明されています。

「シリカ」「シリコン」は、どこか化学合成物質のような印象も与えますが、自然界に豊富に存在し、人の骨や髪、皮膚などにも含まれる成分です。

〈tatara〉は、もちろん食品安全基準試験をクリアしており、カトラリーや酒器にも、またその不燃性から飛行機機内のカーテンやシートなどにも幅広く活用されています。

初心者でも簡単にムラなく仕上げることのできる作業性もあることから、ご自宅でのメンテナンスにも心配が不要です。難点を挙げるとすれば、オイル塗料と比べやや高価であることでしょうか。

いくら対策されていても特にキズやヨゴレがついてしまうのは仕方がないことです。

だからこそ、私たちは起きてしまった後にメンテナンス可能であるかどうかをもとにした塗装の選択をお勧めしています。

具体的なメンテナンス方法に移る前に、最近明らかになった「ヨゴレ」の新事実をお伝えしておきます。

テーブルのお困りごとは、この3つ

日常のさまざまな暮らしのシーンで、テーブルは汚れ、キズが付き、傷んでいきます。最初は気づかなくても、次第に小さな気がかりのようなものが重なっていき、テーブルの「お困りごと」へと変わります。

けれど、テーブルが傷ついたり汚れたりしないようにいつも気をもんでいると、「ダイニングテーブルを使わないのがいちばんの対策」なんてことになりかねません。大切なのは、汚れても、キズがついても、「またきれいにできる」という安心感の方ではないでしょうか。細かなルールや決まりごとをたくさん増やしていくより、心置きなく自由にどんどん使っていきましょう。

こうした安心感のために、まずはどんなお困りごとがあるのかを整理してみます。

テーブルのお困りごと、つまり傷みは大きく分ければ「シミ・キズ・ヨゴレ」この3つに集約され、それぞれ

・シミ:テーブル表面で起こる「化学反応」
・キズ:テーブル表面の「へこみ」
・ヨゴレ:テーブル表面の「付着」
と分けられます。もうすこし具体的に見ていきましょう。

テーブルのお困りごと、
「シミ」について

〈どんな時にできる?〉
・蒸し暑い日の昼間、冷えた麦茶が入ったコップをそのまま置いていた。
・鍋を囲んだ夜の翌朝、置きっぱなしにしていた卓上コンロに気がついた。

「シミ」とは、木の表面や導管(養分・水分などの通り道)の中で生じた「化学反応」です。よくある輪っか状のシミ(いわゆる輪ジミ)は、テーブル天板の表面の油分とコップ底の水の反応によって生じます。こうした表面的な輪ジミは、白っぽい色のシミになります。

一方で、より厄介なのが黒っぽいシミです。鉄などの金属と水が木の表面で起こす化学反応によるもので、テーブルの上に濡れた空き缶などを一晩中置きっぱなしにしてしまった…なんて時にできるシミです。ヘアカラー剤などの薬品によるものなんかもあります。

【注意!】これらのシミは、簡単なおうちメンテナンスの範囲ではなかなか消せず、〈修理〉が必要になります。

また、表面だけでなく、無垢の木の導管内で起きてしまう場合もあります。テーブル天板の木の中に水分が沁み込んだことによるもので、木の色より少し濃い濡れ色になることが多いです。この沁み込んでできたシミは、メンテナンスでいい感じになるのであまり気にする必要はありません。

ほかには熱によるヤケと呼ばれる跡があります。さすがに高温の鍋などを直接置く方はいないとは思いますが、熱によって表面の塗膜が融解したことにより変色が起きています。ただし「温かいコーヒーカップや湯呑を直接置いただけでもシミができた」と言われるようなケースは、熱そのものが原因ではなく熱された容器が底で起こした結露によって生じた水分がテーブル表面の油分と反応してできたものがほとんどです。前述の油分と水分との反応ですね。

テーブルのお困りごと、
「キズ」について

〈どんな時にできる?〉
・突然の電話対応で慌てて強く裏紙にメモを書きつけてしまった。
・朝食時に知らず知らずカフスボタンが当たっていた。

「キズ」とは、改めて書けばテーブルの表面に加えられた力でできた「へこみ」や「くぼみ」、「削れ」などとなります。大きな当たり傷(へこみ)ができてしまったり、湯呑の裏がザラザラだったり、カバンの裏の金具で擦ってしまったとかで、できる擦り傷や目に見えないヘアラインのキズなどが挙げられます。柔らかなスギやヒノキ、イチョウなどの場合には、特に注意が必要です。

ただし前章でも触れたとおり、キズは適切に残すことでむしろ愛着に変わる可能性のあるものです。付けるつもりはなくても、突然できてしまうのがキズ…。その時には気落ちしてしまうかもしれませんが、メンテナンス次第では独特な味にも変えていけます。

テーブルのお困りごと、
「ヨゴレ」について

〈どんな時にできる?〉
・楽しい夜に、赤ワインをこぼしてしまった。
・目を離した隙に、子どものマジックペンがお絵かき帳からはみ出していた。

「ヨゴレ」は、普段づかいでもっとも目にするものではないでしょうか。とは言っても、実はもっとも見えづらく、気付きづらいテーブルの傷みでもあります。食べこぼしや飲みこぼしは大体見ればすぐに分かるヨゴレですね。マジックやボールペンなどの筆記具や新聞のインクうつりなども挙げられます。

しかし見えづらいヨゴレの最大の原因の一つは、意外にも「テーブルの水拭き」。清潔に保つために行っているはずの「水拭き」こそが、シミよごれの最大原因となりうることが分かってきました。この「水拭きはしてはいけない」については、こちら(No.3 リンク)で詳しくお話しすることにします。

テーブルの傷みの原因である「シミ」「キズ」「ヨゴレ」も、長くテーブルと一緒に過ごした日々があったからこそです。実はこの傷みによる「暮らしの跡」があるからこそ、新品より使い込んだ道具の方が愛着が湧くとも言えます。さて、ここまででお困りごとの原因を整理してきました。ここからは、テーブル表面に塗られた「塗料」についてお話ししたいと思います。

大切な家具をもっと大切にする

家具を大切にする。って「たくさん使うことだ」と私たちは思っています。たくさんドシドシ使っていると、当然汚れるし傷みも出てくるもの。家具を単なる消耗品だと考えると、古くなったり傷んできたら「そろそろ買い替えよー」って気持ちにもなりますよね。ただやっぱりもう簡単に物を捨てる時代ではないと思います。ヒダコレでは、みなさんに「この家具は捨てたくない」って思ってもらえるようにするためには何ができるだろう、と考えてみました。

実は「テーブルの傷み」は簡単なメンテナンス作業でかなりきれいにすることができます。あくまでもみなさんに「たくさんドシドシ使ってほしい」。ならば、できてしまった「テーブルの傷み」をみなさん自身できれいにしてもらったらいいんだ!と気づきました。

ぜひみなさんに、簡単にできるテーブルのメンテナンスを知っていただきたいと思います。

「メンテナンスする暮らし」とは、つまるところ手間をかけることそのものが楽しみとなる暮らしです。たまにそこに居る家具を気にかけ、すこしの手間をかける。それが楽しみであると知っている。そんな、とても身近なところから始まる家具との関わり方です。

せっかく選んでもらった大切なテーブルだから、できれば愛着を持ち続けてほしい。これは私たち作り手の願いです。たくさん使うほどにこれまでよりもっと大切な家具に育ててほしい。でもまったく難しくなくて、ちょっとした視点を持って、また誰でも簡単にできる作業だけで、自分の家具にもっと愛着が湧き、さらに大切な存在に変わっていきます。

私たちは〈メンテナンス〉を、ご家庭の「お部屋でできる範囲の作業」と定義します。わざわざテーブルを動かす必要はなく専用の工具もほとんど要らないため、簡単にできてしまいます。そんなひと手間、小さな技術をこの記事ではご紹介します。ちなみに、「お部屋ではできそうもない作業」は〈修理〉として棲み分け、その場合には工房へ持ち帰りきれいに修理して再納品させていただく工程をご提案しています。

さて。こうした〈メンテナンス〉や〈修理〉によって、「もう汚くなってしまったから」「古くなってしまったから」という理由で捨ててしまうテーブルを救うことはできるかもしれません。しかし、そもそも私たちが勧める〈メンテナンス〉は、元の新品同様に戻すためにしているわけでもありません。

長くテーブルを使っているとシミや汚れがついたり、キズが付いたりします。それらの中にはお子さんがまだ小さなころに噛んだキズだったり、初めて書いた落書きだったり、よくみると思い出の一コマもたくさんありますよね。

こうした長い時間の積み重ねは使い込んだ風合いとなって、更に素敵なテーブルになっていくものです。今までのテーブルのキズや傷みを残しつつ、すべてをきれいさっぱり無くしてしまうことではなく「愛着」として昇華させること。

でも、毎日の忙しい暮らしの中で、愛着を保ち続けるのは時に難しい。だからこそ、愛着を時々「思い出す」ためのひと手間や、そのひと手間が楽しくなるようなお手伝いを私たちはしたいと思っています。

テーブルはいつも家のまんなかにひっそりと居ます。楽しい時間のみんなの笑顔のために。すこしつかれたあなたをやさしく受け止めるために。

No.1では、これまで私たちに寄せられたテーブルのお困りごとを「シミ、キズ、ヨゴレ」に分類し、まずはメンテナンスよりも前になされる「塗料の選択」が重要であることを整理します。

お困りごとの原因が、実は意外な毎日の習慣にあったことをご紹介したのが、No.2。お使いいただくなかで、そもそもお困りごとを増やさない工夫ができるのです。

そして、No.3では具体的なメンテナンス方法について、各工程をだれでも簡単にできるようわかりやすく解説しています。

最後にNo.4では、すこし広い視点から〈メンテナンス〉の可能性をお話ししています。

ヒダコレ家具が発信する「ヒダコレノート」は、いつでも使えるインフラのような存在を目指しています。

気になったページから、気軽にお読みください。

4/26(金) – 5/28(火)
一枚板テーブル展を開催します

ヒダコレ家具には、全国から集められた一枚板がたくさん揃っています。
ダイナミックな曲線の木目が特徴のケヤキをはじめ、きらきらとした杢が美しいトチや優しい雰囲気のあるクスなど。どれも唯一無二の存在感ある一点物です。
その一枚板を皆さまに見て、触れていただけたらという想いから、『一枚板テーブル展』を開催いたします。10人掛け用の大きなダイニングテーブルや、カウンター・デスクにぴったりサイズの一枚板など。個性豊かな形、表情の一枚板をぜひ見にきてください。

★期間中一枚板をご成約いただいた方へ、下記のいずれかお好きな方をプレゼント!

①飛騨の広葉樹で作ったオリジナルカッティングボード

②木製ミニツリー製作キット

★無料テーブルメンテナンス講習会を開催します
無垢材でできた家具は、自然の風合いや温かみを感じることができ、使い込むほどに愛着が増していきます。
オイル塗装の家具は、定期的にメンテナンスをすることによって長くご愛用いただけるのですが、メンテナンスというと、どうしても「難しそう」「面倒だなぁ」と思われてしまう方もいらっしゃるようです。
そこで、おうちで簡単にできる無料メンテナンス講習会を開催いたします。


まずは「テーブルを泡で洗う」簡単な作業から始まります。

★無料テーブルメンテナンス講習会のご予約について
【日時】①5/11㈯ 11:00~ ②5/18㈯ 11:00~
【場所】ヒダコレ家具店舗前

★無料テーブルメンテナンス講習会 当日の流れ
①メンテナンスについての講義(10分ほど)
②実際にメンテナンス作業をしてみます(20分ほど)
③作業の後はお茶を飲みながら質疑応答(10分ほど)
(全行程を1時間程度で予定しています)

※予約制となります。①②どちらかご都合のいい日時で下記からご予約ください。
TEL: 0120-690-315
MAIL: info@hida-collection.shop

※メンテナンスしたい物をお持ちいただいても結構です。(ご自身でお持ちいただける小さなテーブルやカッティングボードなど、オイル塗装の木製品)

おうちで簡単にできるメンテナンス方法については、こちらでもご紹介しています。
[YouTubeで公開中] おうちで簡単にできる / 一枚板と無垢テーブルのメンテナンス

へちかんだグラスが生まれるまで

安土忠久さんの代表作「へちかんだグラス」の写真

岐阜県高山市出身の硝子作家・安土忠久さんの作品は、代表作のグラスに見られる通り『へちかんだ』味が多くの人を魅了しています。

『へちかんだ』は飛騨地方の方言で「ゆがんだ」「曲がった」というような意味。
自然のゆらぎがそのまま形になったへちかんだグラスには、温かみと自然のエネルギーがあふれ出ています。

ガラスのお皿の写真

「言葉では何とも説明のできないへちかんだグラスの絶妙なフォルムは、いったいどうやって生まれたのだろう、、、」

そんな素朴な疑問から安土さんご本人に尋ねてみました。

安土忠久さんの工房外観

偶然生まれた心惹かれるフォルム

昔、安土さんの知り合いに吹きガラスの体験でグラスを作ってもらったことがあったそうです。もちろん初心者なので均一な形にならないのですが、その中の一つにとても初々しい出来のグラスがあり、安土さんは心惹かれました。

そして、自分でもこんな作品が作れないかとあれこれ模索してみたのですが、何度やっても思うような作品がつくれない日々が続きます。

安土忠久さんが炉でガラスを扱っている様子

安土忠久さんの工房内

安土忠久さんの工房内

あるときガラスで指を切ってしまい、不自由な手で吹き竿を回しグラスを作っていたら、動きがぎこちないためストレートなラインが出せませんでした。しかし、偶然生まれたこのいびつなフォルムが、以前見た心惹かれたグラスと一致したのです。

熱いガラスを扱っている様子 その1

このケガをきっかけに、均一に回さなければへちかんだフォルムを作れることがわかったのですが、偶然気づいたものを完成させるためには更に何度も何度も回し続けなければなりませんでした。そして数多くの試作と月日を重ねた結果、ついにへちかんだ表情のグラスを完成させることが出来たのです。

熱いガラスを扱っている様子 その2

作り手の道具

最初は偶然生まれたへちかんだグラス。

今では出来あがりのフォルムをきちんと頭の中で描き、ガラスの厚いところと薄いところが出来るよう吹き加減を計算しながら回して作られています。こうして安土さんは、へちかんだ表情のグラスを自分のものにして世に送り続けているのです。

多くの人を魅了する作品

安土忠久さんの代表作「へちかんだグラス」の写真

へちかんだグラス特有の味のあるゆがみは、何とも愛らしさがあり多くの人を惹きつけます。

確かな審美眼と精緻な文章で日本の美を追求する作品を残した随筆家・白洲正子さんもこのへちかんだグラスを愛用されていたお一人でした。

暑い夏に涼の気分が味わえる安土忠久さんのガラスのうつわ。お昼時に家族でいただくそうめんにもピッタリ。

へちかんだグラスだけでなく、どの作品もどれをとっても世界に二つとない特別な逸品ばかり。手にとった時のぽってりとした重量感、器の縁が唇に触れた時の優しさと温かみに心安らぐ、それが安土さんが作り出す作品なのです。

安土忠久さんご本人の写真

安土さんは作られた作品について

「作ったものは、僕の手を離れていけば誰が作ったかわからなくなるけれど、その存在感と使う人の関係は何年も続いていく。僕はそれが嬉しい」と言われます。

この言葉が意味する通り、ヒダコレで安土さんの作品をお買上げいただいたお客さまからは
「孫が遊びにきたとき、一度へちかんだグラスでジュースを出したら、それからは『あのコップで飲みたい』って言うの」
「母が生前大切にしていた安土さんのワイングラスを私も使いたくって、、、」
「昔働いていたカフェで使っていた、トールグラスに注いだアイスティーの美しさが忘れられない」
「息子が成人したので、安土さんのウィスキーグラスで一緒に酒を飲みたい」
など、話題が尽きません。

安土忠久さんの代表作「へちかんだグラス」の写真

こういうお話を聞くたびに安土さんにもお伝えすると
「お客さんと僕の作品のエピソードを聞くと力が湧いてきて、制作の原動力になるんだよ。ありがとう!」
と優しい笑顔でこたえてくれます。

多くの人を魅了し、愛されている作品には、安土さんのこんなお人柄もあらわれているのかもしれませんね。

安土忠久さんがつくるガラスの作品の数々 その1

安土忠久さんがつくるガラスの作品の数々 その2

ヒダコレでは常時安土忠久さんの作品を展示させていただいています。
飛騨高山にお越しになる機会があれば、ぜひ店舗にもお立ち寄りいただき、作品を手に取ってご覧になってみてください。