私たちは、家具を「使い込むほどに育つもの」だと考えています。毎日思いっきり使って、汚れもキズも、暮らしの証として受け止めていく——それが家具との自然な付き合い方だと思うんです。
だからこそ、そんなふうに使い込んだ家具には、ほんの少しの手間をかけて、もっと好きになってほしい。
今回は、無垢材の家具を長く心地よく使うための「ちょっとした習慣」 と「気をつけたいポイント」をご紹介します!
汚れがつきやすい家具の代表としてテーブルを取り上げ、ここではテーブルに焦点を当ててお話しします。
今回の内容は他の木製家具はもちろん、プラスチック製や大理石でも同じです。
小さな習慣ですが、正しい扱い方に変えるだけで、汚れの溜まり方やメンテナンスの手軽さ、家具の手ざわりなどが違ってきます。
ぜひ最後までご覧ください。
No.1 水拭きが汚れにつながる理由
家具にとって、意外な汚れの原因となるのが「水拭き」です。
清潔に保つつもりの水拭きが、知らず知らずのうちに汚れを広げたり、水垢を蓄積させている原因に。もちろん一度の水拭きで汚れがつくわけではありません。日々の積み重ねが、素材の上に蓄積されていくのです。
水拭きが汚れにつながる理由は、大きく分けて二つ。

1.油汚れは水では落ちない
水と油はなじまず、濡れた布で拭くと油汚れを吸い取るどころかテーブル全体に広げてしまうことに。
これが、テーブル全体にうっすらとした膜のような汚れを残す原因となります。
時間が経つと酸化し、くすみやベタつきの原因にも。

2.水垢の原因は水道水の「シリカ」
水道水に含まれるシリカ(岩石成分)が乾燥すると白く残り、水垢となって木の繊維に蓄積します。
窓やシンクでは視認しやすいですが、木のテーブルなどでは見えにくいため、意識されていない方が多いです。
水垢汚れ自体は目に見えにくいですが、垢としてテーブルの上に蓄積され、家具の表情を曇らせてしまいます。
多くの方がテーブルをきれいにしようという気持ちで水拭きをして、知らず知らずのうちに汚れを溜めてしまっている状態なんです。
ここから、水拭きではなくどうしたらいいのか、普段の取り扱いについてお話しします。
No.2 日常の取り扱い

普段使いの基本は『乾拭き』
先ほど油汚れは水拭きでは落ちないとお話ししましたが、水分で汚れを“伸ばして薄く広げているだけ”なので、実際には汚れが取れていないことがほとんどです。この状態を日々繰り返すことで汚れが蓄積されていきます。
それでは水拭きではなく何をしたらいいのか?
答えは「乾拭き」です。
乾いた布の方が水を含んだ布よりも効果的に、油などの汚れを吸い取ってくれます。

©NHK あしたが変わるトリセツショー「やってはいけない掃除」
焼肉で飛んだ油も、うっかりこぼしてしまった牛乳も、「まずは乾拭きでしっかりと汚れを吸い取る」ことが大切です。また、油汚れだけではなく、ホコリなどの乾いた汚れも乾拭きが効果的です。乾いていればサッと掃いて除去できるけど、濡らしてしまうと逆に張り付いてしまって取りにくくなる、そんな風に考えていただくとイメージしやすいと思います。
食後や日常の汚れは、乾いた布でやさしくふき取る。乾いた布での拭き取りは、表面のホコリや軽い汚れを除去しつつ、水分もふき取ってくれるので、木の表面に汚れを残しにくいです。

水拭き後には必ず乾拭きを!
水拭きじゃ汚れが落ちないって言われても、なんだか汚れが落ちていない気がする…って方もきっとみえますよね。水拭き自体は悪いことではないので、気になるようでしたら水拭きをしても大丈夫です。
ただし、まずは①乾拭きで汚れを取ってから。②その後に水拭きをします。また、水拭きの水滴が残ったままだと水垢が積み重なっていってしまいます。表面に水分を残したくないので、③拭き取りの仕上げとして乾拭きを習慣づけることが大切です。
木の繊維に水垢が詰まってしまうとオイルが浸透しないため、メンテナンスの際にまずは水垢を除去するという工程が増えます。そして、水垢を溜めてしまう原因の多くは「習慣的な水拭きによる汚れ」によるものです。そうならないためにも、水拭きをした後には乾拭きで水分を取るように習慣づけていただくことがおすすめです。
No.3 使用時に気を付けたいこと
普段テーブルを使用する際に、抑えておいてほしいポイントです。

ぬれたコップや熱いものは直接置かない
水分がテーブルの表面に触れると、木の繊維を通じて内部に浸透し輪染みの原因となります。
また、熱い鍋などを直接置いてしまうと塗膜や繊維にダメージを与えることも。
コースターや鍋敷き、ランチョンマットなどを普段から敷くように心掛けていただけると安心です。

缶コーヒーなど水滴のついた金属は直接置かない
木に濡れた鉄を置くと、鉄汚染や金属汚染と呼ばれる変色が起こることがあります。これは木材に含まれるタンニンという成分が、水分を得た鉄から溶け出した鉄イオンと反応して黒く変色してしまったものです。

(濡れたまま放置した缶による鉄汚染)
金属汚染は表面についた汚れではなく、一部が化学変化により変色したものなので、変色してしまったら基本的にはペーパーで削って落とすことになります。
そのため、金属製品は極力近づけないことがベストですが、なかなか難しいので、せめて布やコースターの上に置く習慣をつけましょう。
わかりやすいところで缶や釘がありますが、鉄製の花器やラック、ヘアピンやクリップ、鍵なども要注意です。
No.4 まとめ
① 拭き掃除は必ず「乾拭き」から
② もしも水拭きをしたら、最後は乾拭きで水気を取る
③ 濡れたものや熱いものは直接置かず、布やコースター等を敷く
④ 金属のものはテーブルに直接置かない
ちょっとした習慣が、家具との毎日をもっと心地よくしてくれます。
ひとつひとつは簡単なことなので、ぜひ実践してみてください。
ただ、これらを気にすることでテーブルを使う度にストレスを感じてしまうのであれば実践しなくても構いません。
汚れはつきやすくなりますが、日々気を付けるよりも定期的にメンテナンスする方が向いているという方は、そちらの方法でも大丈夫。
テーブルが長い間キレイに、健康でいられる方法のひとつとして知っておいていただければと思います。
ご自身とテーブルの心地よい距離感で付き合っていきましょう。







































